単価コンパス

SESのマージン率・還元率の平均は?相場30〜40%の内訳と低い会社の見分け方

客先単価とエンジニアの給料の差が「マージン」です。客先単価のうちSES会社が受け取る割合をマージン率、エンジニアに渡る割合を還元率と呼びます。 このページでは、業界の平均・相場から、マージンの使い道、「還元率80%」の読み方、商流で重なる中間マージンまでを整理します。

結論

  • SESのマージン率は業界全体で30〜40%が一般的(還元率60〜70%)。企業による幅は19〜50%程度
  • マージンの最大の使い道は社会保険の会社負担(月給額面の15%前後)。マージン率がそのまま会社の儲けではない
  • 商流が深いと、自社のマージン率とは別に上流の会社のマージンが積み重なる。手取りが少ない原因は多くの場合こちら

自分のマージン率はいくら?

月給を入れるだけで、客先単価の推定と還元率の目安が出ます。単価がわかっていれば実際の還元率も計算できます。

還元率を計算する(無料)→

マージン率と還元率の関係

マージン率と還元率は、同じ状態を裏返しで表しているだけの関係です。求人票では「還元率」、業界記事では「マージン率」と呼び分けられますが、指しているものは同じです。

計算式

マージン率(%) =(客先単価 − 月給額面)÷ 客先単価 × 100

還元率(%) = 100 − マージン率

例:客先単価70万円・月給額面45.5万円の場合 →(70 − 45.5)÷ 70 = マージン率35%・還元率65%。 「マージン率30%の会社」と「還元率70%の会社」は同じ水準を指します。

※ 交通費・社会保険の会社負担分・賞与原資をどちら側に含めて計算するかで、数値は数ポイント動きます。 会社が提示する還元率と、自分で単価から逆算した還元率がずれるのは多くの場合これが理由です。

SESのマージン率の平均・相場

業界メディア・エージェントの公開調査を複数突き合わせると、SES会社のマージン率は業界全体で30〜40%が一般的で、企業によって19〜50%程度の幅があります。 還元率で言い換えると60〜70%が中心帯で、いわゆる高還元SESは70%を超えます。 単一の統計値ではなく、複数の集計に共通して現れるレンジとして捉えてください(データソース)。

マージン率の水準帯と、客先単価70万円のときの月給額面
マージン率還元率位置づけ単価70万円時の額面
〜25%75%〜高還元SES・エージェント寄りの水準。待機保証や研修が薄い代わりに還元率で返す設計が多い52.5万円〜
25〜30%70〜75%還元率が高い部類。単価開示を行っている会社に多い49〜52.5万円
30〜40%60〜70%業界のボリュームゾーン。平均的なSES企業はこのレンジに入る42〜49万円
40%〜〜60%高マージン帯。多重下請けの下層、未経験採用・研修投資が厚い会社に多い〜42万円

同じ「マージン率35%」でも中身は会社ごとに違います。幅が生まれる主な理由は、商流の深さ(自社より上に何社入っているか)、採用・教育コストの厚み、待機時の給与保証の有無の3つです。

還元率50%〜90%の読み方|「還元率80%」は本当?

求人票や面談で提示される還元率が、どのくらいの水準なのかを整理します。 額面は客先単価70万円のとき、「会社に残る割合」はマージンから社会保険の会社負担(月給額面の約15%)を引いた概算です。

還元率 50%前後月給額面 35万円会社に残る割合 約43%

業界レンジの下限。多重下請けの下層や、未経験採用・研修投資が厚い会社に多い水準です。経験3年以上でこの水準なら、商流と単価を確認したうえで見直しを検討する価値があります。

還元率 60%月給額面 42万円会社に残る割合 約31%

業界のボリュームゾーンの下側。待機保証・研修・賞与がしっかりしている会社なら妥当な範囲です。福利厚生が薄いのにこの水準なら、差額の使い道を聞いてみてください。

還元率 70%月給額面 49万円会社に残る割合 約20%

還元率が高い部類で、いわゆる高還元SESの入口です。単価を開示している会社に多く見られます。

還元率 80%月給額面 56万円会社に残る割合 約8%

高還元SESが掲げる水準。月給額面ベースだと会社に残るのは単価の1割未満で、営業・間接部門・待機のコストをまかなうのは困難です。多くは社会保険の会社負担や賞与原資を含めた「総額人件費」ベースで計算されています。

還元率 90%以上月給額面 63万円〜会社に残る割合 ほぼ0以下

月給額面ベースでは会社の運営費が出ない水準です。総額人件費ベースでの計算、待機期間は無給、案件を自分で選ぶ代わりに営業支援が薄い、といった条件がセットになっているのが通常です。

「還元率80%は嘘」と言われる理由:数字自体が偽りというより、計算の起点が会社ごとに違うことが原因です。 社会保険の会社負担や賞与原資を「エンジニアへの還元」に含めれば、同じ給料でも還元率は10ポイント前後高く見えます。 比較するときは「月給額面 ÷ 客先単価」に揃えて計算し直すのが確実です。

マージン率の内訳(何に使われているか)

差し引かれたマージンがすべて会社の利益になるわけではありません。主な使途は次の6つです。

社会保険料の会社負担分

健康保険・厚生年金・雇用保険・労災は労使折半(労災は全額会社負担)。月給額面の15%前後が会社側の持ち出しになります。マージンの中で最も大きい固定費です。

営業・採用コスト

案件開拓の営業人件費、求人媒体費、人材紹介会社への成功報酬。採用を積極的に行う会社ほど、この比率が上がります。

間接部門・オフィス費用

経理・労務・総務の人件費、オフィス賃料、PC・ライセンス等の貸与機材。

待機期間の人件費

案件が切れて次が決まるまでの給与を会社が負担します。待機補償が手厚い会社ほどマージンを厚めに取る構造になります。

福利厚生・教育・有給

有給休暇の取得日も給与は出ますが客先には請求できません。資格取得支援・研修もここに含まれます。

会社の利益

上記を差し引いた残り。マージン率がそのまま会社の儲けになるわけではありません。

ポイント:社会保険の会社負担だけで月給額面の15%前後が固定でかかります。 つまりマージン率20%台の会社は、社保を払った時点でほとんど残りません。 マージン率が高い=すべて中抜き、とは限らないという点は押さえておくべきです。 一方で40%を超える水準なら、待機保証・研修・賞与など「何に使われているか」を確認する材料はあります。

自分のマージン率を計算する方法

  1. 1. 月給額面を出す

    賞与がある場合は「年収 ÷ 12」で均します。手取りではなく額面(税・社会保険を引く前)を使います。

  2. 2. 客先単価を把握する

    契約書・注文書に記載があれば確実です。非開示の場合は、同じ言語・経験年数の案件がいくらで募集されているかから推定します。言語別のSES単価相場が推定の目安になります。

  3. 3. 式に当てはめる

    (客先単価 − 月給額面)÷ 客先単価 × 100。月給40万円・客先単価65万円なら、(65 − 40)÷ 65 =マージン率約38%・還元率約62%で、業界のボリュームゾーンのやや高マージン寄りという読みになります。

単価がわからない場合は、月給から逆算するのが早道です。 SES還元率 逆算・手取り計算ツールに月給を入れると、客先単価ごとの推定還元率が一覧で出ます。

月給からマージン率を計算する →

年収帯で比較したい場合は年収別 SES vs フリーランス 手取り早見表も使えます。

商流と中間マージンの多重化

マージンを取るのは自社だけとは限りません。客先 → 元請 → 2次請 → 自社(3次請)と商流が深くなるほど、 各社がそれぞれマージンを抜いた後の金額が自社に届きます。「自社のマージン率は35%」と言われても、それは自社に入ってきた時点の金額に対する35%で、 エンドクライアントが払っている額に対する率ではありません。

3次請けのモデルケース
エンドクライアントの支払い100万円
元請がマージン20%→ 80万円
2次請がマージン15%→ 68万円
自社(3次請)がマージン35%→ 月給額面 44.2万円

自社の提示マージン率は35%でも、エンドの支払い100万円に対する実質の取り分は44.2%。差し引かれた合計は55.8%になります。エンジニアが体感する「思ったより安い」の多くは、 自社のマージン率ではなくこの多重構造が原因です。

対策は単純で、商流を浅くすることです。元請直の案件に入る、エージェント経由でフリーランスとして直接契約する、 自社が元請となる案件に異動する、といった動き方で中間の層そのものを減らせます。 商流の構造そのものはSESの仕組み図解ガイド、単価を上げる打ち手はSES単価を上げる具体的な5つの方法も参照してください。

マージン率が低い会社の見分け方

マージン率は求人票に書かれないことがほとんどです。転職・面談時に確認できる材料は次の4つです。

1. 客先単価を開示しているか

最も確度の高い判断材料です。「配属時に単価を教えてもらえますか」と聞いて、明確に開示すると答える会社はマージン率が低い傾向があります。 単価を伏せる会社が必ず高マージンとは限りませんが、入社後に自分で検証できなくなります。

2. 還元率を数字で明示しているか

高還元SESを掲げる会社は「還元率75%」のように数値を出します。その際は何を差し引く前の数字か(社会保険の会社負担・交通費・賞与原資を含むか)まで確認してください。 同じ「還元率75%」でも、計算の起点が違えば手取りは変わります。

3. 待機時の給与保証とのバランス

還元率が高い会社ほど、待機期間の給与保証・研修・福利厚生は薄くなるのが一般的です。 案件が途切れやすいスキル構成なら、還元率だけで選ぶとかえって年収が下がることもあります。

4. 商流の深さ

「元請直の案件はどのくらいの比率か」を聞くと、実質的な取り分の目安がつかめます。 自社のマージン率が低くても、商流が深ければ手元に来る金額は増えません。

なお、マージン率の差は「額面の差」であって、そのまま「手取りの差」にはなりません。 社会保険料・所得税・住民税は額面が増えるほど負担も増えるため、額面の増分の7〜8割程度が手取りに残る計算になります。 マージン率30% / 35% / 40% × 単価別の手取りはSES単価相場と手取り早見表、実額での比較はSES還元率 逆算・手取り計算ツール、フリーランス側の単価水準はフリーランス単価相場ガイドで確認できます。

よくある質問

Q. SESのマージン率の平均はどのくらいですか?

業界メディア・エージェントの公開調査を複数突き合わせると、業界全体で30〜40%が一般的で、企業によって19〜50%程度の幅があります。還元率で言い換えると60〜70%が中心帯です。

Q. SESのマージン率と還元率の違いは?

同じ状態を裏返しで表しているだけです。マージン率=(客先単価−月給額面)÷客先単価で、還元率=100−マージン率。マージン率30%の会社と還元率70%の会社は同じ水準を指します。求人票では還元率、業界記事ではマージン率と呼び分けられます。

Q. 還元率80%・90%をうたうSESは本当ですか?

嘘とは限りませんが、計算の起点を確認する必要があります。社会保険の会社負担は月給額面の15%前後かかるため、月給額面ベースで還元率80%だと、会社に残るのは単価の約8%しかありません。高い還元率の多くは、社会保険の会社負担分や賞与原資を含めた「総額人件費」ベースで計算されています。

Q. マージン率が高いSES会社はやめたほうがいいですか?

マージンには社会保険の会社負担・営業・待機期間の給与・研修などが含まれるため、高い=すべて中抜きとは限りません。ただし40%を超える水準なら、何に使われているか(待機保証・研修・賞与)と、商流が何次請けかを確認する材料はあります。

Q. 自分のマージン率を知るにはどうすればいいですか?

月給額面(賞与があれば年収÷12)と客先単価がわかれば、(客先単価−月給額面)÷客先単価×100で計算できます。客先単価が非開示なら、同じ言語・経験年数の募集単価から推定するか、SES還元率 逆算ツールで月給から逆算してください。

データソース・出典

本ページのマージン率・還元率は、以下の公開データを整理したものです。各社の最新値は出典元で確認してください。

※ IPA・経済産業省の公式統計ではSESのマージン率・還元率の直接的なデータは公開されておらず、 本ページは民間エージェント・業界メディアの公開調査値を複数比較して整理しています。 「会社に残る割合」は社会保険の会社負担を月給額面の約15%とした概算で、実際の負担率は加入する健康保険組合や年齢で変わります。